<阪神8-0中日>◇29日◇甲子園

 中日は最低でもカード勝ち越しをしながら、上位との差を詰めなければならない。1勝1敗で迎えたこのカードで3戦目、阪神は先発村上。戦前から、試合運びの大前提は見えていたはずだ。

 中日はリーグ最低の得点数。それも得点数では同5位ヤクルトに約50点差をつけられている。言うまでもなく得点力不足。それでいてチーム防御率は阪神に続く好データを残している。

 投手は踏ん張っているが、得点力で苦しむ。そして村上が相手となると、中日からすればロースコアに持ち込むことではじめて勝機が見えてくる。

 初回、無死一、三塁で渡辺諒は一ゴロ。石川昂はホームへ送球して挟殺プレーで1死二、三塁。この判断はわかる。村上相手に先制点をやりたくない。だが、その後2死となってノイジーの遊ゴロを龍空がエラー。さらに前川の適時打でこの回2点を失った。

 3回裏、同じく無死一、三塁で、大山の三ゴロに高橋周は三塁走者を気にする様子もなく、セカンドスローで併殺を取りに行った。結局、併殺の間に3点目を奪われた。

 ここで疑問が湧く。ロースコアゲームのための、初回の挟殺プレーだったはずだ。失策でもくろみは外れたが、まだ序盤の3回に今度は併殺を優先。大きな3点目にもかかわらず、初回と異なる守備に、中日ベンチは何をやりたいのかと、感じる。

 3回に併殺を優先したのなら、初回も併殺を完成させていれば、失点は1点で済んだ可能性がある。チームとしての方針が出ているのか、個人の判断に任せているのか。どちらにせよ、ちぐはぐに映った。