ロサンゼルス タイムズ コラムニスト評

「エンゼルスにいるからこそ、大谷はレガシー(チームに何を残すか)を意識しているような気もします。ヤンキースやドジャースのような強いチームで勝つのではなく、久しく勝っていない弱小球団を勝ちに導くこと。かつてサッカーのディエゴ・マラドーナがナポリ(イタリア・セリエA)を、NBA(バスケットボール)のマイケル・ジョーダンがシカゴ・ブルズを強くしたように、大谷は他の野球選手がしてこなかったようなことを考えているような気もします」

「取材の時でも言葉のテンポが崩れず、質問者から目を逸らすこともない。どんな質問に対しても、精神的なコントロールができるのはすばらしい。日頃の独自のトレーニングも他人には見せないし、だれにも言わない。他の選手に大谷が何をしているかを聞いても、分からないと言うばかり。おそらく、すべてはグラウンド上でのパフォーマンスで評価してください、ということなのでしょう。自分がなりたい選手になれる、そんな自信があるようで、誰よりも自分の力を信じているような気がします」

大谷とコービーは似ている

 では、今やトラウトをも凌ぐほどの存在感となった大谷は、どこまで自らのステージを上げて行くのだろうか。他競技の取材歴も豊富なヘルナンデス記者は、今は亡き、NBAのスーパースター、コービー・ブライアント(レイカーズ)の生き様と共通点を感じるという。

「コービーは、高校時代の最初の頃、さほど注目される選手ではなかったんです。でも、周囲が試合後にレストランへ行くと行っても、1人でジムに向かうような努力家でした。みんなが1回練習するのを、自分が2回やれば、1年間で2年分練習できる。そうすれば、それが差になる。最初は追い付こうと頑張って、その後は追い抜いて、さらに差を付ける。大谷の生き方も似ています。最初は無理と言われた二刀流を続け、日本でもメジャーでもダントツの存在になった。永遠に続くわけではないけど、これからまだまだ差が開くと思います」

https://number.bunshun.jp/articles/-/857970?page=2