8―9で悪夢の逆転負け。9回に2点差をひっくり返され、その裏、大谷の一発で1点差に迫ったが、反撃は実らなかった。
 その試合後だ。ネトはたった一人放心状態のままベンチに残っていた。悔しさが当然、募る一方…。一体、その脳裏に何がよぎっていたのか。こう口を開いた。


 「9回の打席のことをずっと考えていた。翔平が本塁打を打って1点差に迫っただろ。翔平の前に自分が塁に出ていればってずっと考えていたんだ」


 9回の先頭だった1番・ネトは3球三振。ボール球の変化球に手を出し、簡単に打ち取られた。

「なぜ、あの球を追っかけたのか」。

心に整理をつけるのに、ベンチでの時間は必要だった。



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