日大豊山で今年のチームの4番打者に座る光永翔音(みつなが・しょうおん)は異例の挑戦を続ける“二刀流アスリート”だ。

身長190cm、85kgのスラリと引き締まった体格は、それだけで好素材であることを感じさせるが、実は水泳界で将来を嘱望されるトップスイマーでもある。
野球と水泳を並行して行う「二刀流」は、幼い頃から続けている。小学生時代に野球では千葉ロッテマリーンズジュニアに選出。
水泳ではリレーで日本新記録を樹立し「スーパー小学生」としてテレビ番組で瀬戸大也や古賀淳也といったオリンピアンと対決したこともある。

中学時代は野球では全国優勝3回を誇る名門・京葉ボーイズで3番を打ち、水泳では50mバタフライで「24秒41」という男子中学生日本新記録を樹立した。
そして高校は甲子園出場実績がある野球部と、インターハイ総合優勝10回(※光永の入学前時点)という超名門と言っていい水泳部を兼ね備え、
何よりもこの異例の挑戦を受け入れてくれた日大豊山へと進んだ。

強い決意で臨んだ二刀流の高校生活で、光永はまず水泳で傑出した成績を残す。
1年時から高校生ではただ1人50mバタフライで国内トップ選手が集う日本選手権出場を果たすと、インターハイでは100mバタフライで2位、
4×100mリレー、4×100mメドレーリレーで優勝。2年生になった昨夏は競泳男子100mバタフライ、4×100mリレー、4×100mメドレーリレーで3冠を達成し、チームを総合優勝に導いた。

だが、高校最後の1年は野球に重点を置いた。
大学進学後は2028年のロサンゼルス五輪を目指して水泳に専念する予定で、野球人生最後の大会で憧れの甲子園出場を叶える夢のために、やるべきことをやってきた。

冬場は間食を増やし、体重を増加。野球のためである一方で「重くなったからと言って水泳が遅くはならないと自分は思います」ときっぱり。
そして野球部の福島直也監督が「ガッと入った時の集中力はすごいものがある」と話すように、どちらかといえば水泳中心だった生活による野球技術の遅れを取り戻すかのように
一心不乱に野球の練習に取り組むと、今夏には4番の座を掴むまでになった。

一方で、水泳も完全に中断しているわけではない。現在はインターハイの予選を兼ねた関東大会が行われており、関東一高戦と日程が重複した50m自由形こそ棄権したが、
翌日の100mバタフライには出場してインターハイ出場を決めるなど、二刀流は継続中だ。

それでも今の光永にとって最優先の目標となっているのは「仲間たちとの甲子園出場」。次戦は25日の準々決勝・東亜学園戦となる。甲子園まではあと3つだ。
甲子園出場とオリンピック出場――「二兎を追う」光永だからこそできる前人未到の挑戦は、まだまだ続く。