しかし、千賀に笑顔はなかった。「紅林くんに当ててしまった。心配というか、(骨が)折れていると思う。
まだ2年目ですよね。若手でショートを守れる選手なんてなかなかいない。紅林ファンの千賀として思うところはあります。
まして、向こうは優勝争いをしているし余計に思うところがあります」と視線を落とした。

 満塁のピンチを背負った八回、紅林に死球を与えていた。右腕に150キロ直球が直撃。紅林は右腕を抑えたままベンチ裏に下がり、そのまま交代していた。

 「今日は当ててしまった時点で何も嬉しくない。それがすべてです。今日の試合、全部忘れました。また当てた。本当、それだけです…」。
千賀は19年3月の教育リーグでの調整登板で、オリックスの当時ルーキーだった太田に与えた死球で右手を骨折させていた。
その時も「すごく落ち込んだ」とショックを口にしていた。