大島育宙 4.1
大根仁監督・脚本の力強さをまじまじと感じた。
クレしん映画にお馴染みの玉石混交なオマージュの乱れ打ちに加えて、現実のニュースを連想するような社会からこぼれ落ちた弱者にピントが合っており、さすがに大人向けすぎないか?と勝手に懸念するが、

~以下、本当にネタバレゼロで観たい人は自己責任~

クライマックス、悪意や逆恨み、すれ違いに基づく弱者男性のルサンチマンを「倒す」のが若者の「空気の読めなさ(読まなさ)」なのであるという解が明確に提示される。
これほどクレしん映画にフィットする社会へのメッセージはない。MCUをはじめとするヒーロー映画が喪失と再生、トラウマと癒しを描き続ける中で、いちばんナンセンスで一番空気を読まないヒーローが日本にはいたじゃないか、という希望の歌だ。

制作に7年かかったという理由のクレしん映画初のCG。2D人気アニメをただ立体化して結果的に何がしたいのかよくわからなくなる、
という典型的陥穽に落ち込まず、飛び出す部分とそうでない部分を周到に計算していると感じた。ラスボスのキモ可愛い質感、形状変化の描写に喝采が送られるだろう。

エンドロール、大根仁の映画で思春期をズタボロにされてきた世代としては古傷の瘡蓋を剥がされて泣かされるようなカタルシス。大根さん直々のご指名というサンボマスターの書き下ろし主題歌『Future is Yours』のとあるあまりに愚直なリフレインが刺さって落涙しかけた。

はっきり思い出して比較できるクレしん映画が自分の記憶に数本しかないので、点数は暫定!
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レビューサイトを見たら本当に弱者男性を倒す映画なんか…