決勝で走るのは誰もが望む中央のシードレーン。走力には自信があった。私は州最速の女子選手の1人だ、と。

でも、スタートラインについた私は震えていた。両隣には、生まれたときの性別が男性の選手が2人。他のレースの10倍も緊張していた。

「チェルシー、チェルシー!」

スタンドにいるアスリート仲間の声援がこだました。私が不利な競争を強いられていることを、仲間は知っていた。

スタートの号砲が鳴った。私の記録は12秒02。2着だった。トランスジェンダー選手の1人が11秒93のタイムで走り、私は負けた。

私は女子で最速だった。だがその日、表彰台の一番上に立ったのは、より力があって足が速い生物学的男性だった。

負けるのはつらいが、不公平なレースで敗者になるのは心を踏みにじられる思いだ。こんなことが起きているのは、性自認が女性の生物学的男性が女子種目に出場することを、CIACが認めたためだ。

高校時代の4年間に計27回、私はトランスジェンダー選手と並んで、誰もがフェアでないと承知しているレースを走った。あの2人と競い合って、勝ったことは一度もない。

2人は女子種目を制覇していた。両者合わせて州大会の15種目で優勝し(2016年には、女子選手計9人が1位になった種目だ)、17の大会新記録を出し、女子選手の出場機会を85回以上奪った。

陸上女子短距離選手が勝者になりたいなら、別の種目に転向すべきなのは明らかだった。

私自身は走り幅跳びに切り替えた。短距離走ならではの興奮が大好きなのに、悲しいことに私は短距離種目を恐れるようになっていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/15a03a9df0b38531e5ed2cb489866169dc939f81

トランスジェンダーのせいで競技転向するのはなあ