北朝鮮の人権状況めぐり国連安保理会合 50か国以上が共同声明
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230818/k10014166091000.html


国連の安全保障理事会で北朝鮮の人権状況を協議する会合が開かれ、アメリカや日本などは、北朝鮮が国民の生活を犠牲にして核・ミサイル開発に資源を費やしていると強く非難し、会合に続いて50か国以上がそろって北朝鮮を非難する共同声明を発表しました。

北朝鮮の人権状況を話し合う安保理の公開の会合は、17日、日本やアメリカなどの要請を受け、およそ6年ぶりに開かれました。

会合では、今月の議長を務めるアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使が、北朝鮮は国民の生活を犠牲にして核・ミサイル開発に資源を費やしていると指摘し「北朝鮮の政権は間違いなく人々の幸福を無視している」と強く非難しました。

また、日本の石兼国連大使は拉致問題に言及し「残念ながら多くの拉致被害者の家族が愛する人と別れた痛みを最後の思い出として亡くなっている」と述べ、問題の早期解決に向け国際社会の結束を訴えました。

これに対して中国の耿爽国連次席大使は「アメリカとその同盟国こそ一方的な制裁によって北朝鮮の人々を苦しめている」と述べたほか、ロシアのポリャンスキー国連次席大使も「人権を口実にした不当な内政干渉だ」と述べ、いずれもアメリカや日本に反発し北朝鮮を擁護しました。

安保理ではこれまで北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐって各国が対立してきましたが、人権状況をめぐる会合でも一致した対応を示すことができませんでした。

一方で会合のあと、アメリカや日本、韓国など50か国以上の代表が議場の外に集まり、北朝鮮による人権侵害の責任を追及するよう、すべての国連加盟国に呼びかける共同声明を発表しました。

石兼国連大使「北朝鮮が対話に真剣に臨んでくることを強く期待」
石兼国連大使は会合の後、記者団に対し「北朝鮮における人権状況が改善しないどころか悪化している中での開催は意味があると思う。貴重な資源を困っている人たちに振り向けるのではなく、核開発にまい進するという北朝鮮の姿勢を問うことは非常に意義がある」と評価しました。

その上で「今回の会合を通じて出された各国の意見を北朝鮮がしっかりと受け止め、拉致・核・ミサイルの諸懸案を解決するために対話に真剣に臨んでくることを強く期待する」と述べました。