「侍ジャパンU18の日本代表には選ばれないかもしれません。4月に行われた代表候補強化合宿のメンバー36人にも入っていませんし、今回の甲子園でも選考委員たちの現時点での評価はパッとしないそうですから」

 こう言うのはアマチュア野球担当記者。「選考委員の評価がパッとしない」とは、高校通算140本塁打・花巻東(岩手)の佐々木麟太郎のことだ。

 17日、智弁学園(奈良)との3回戦では3安打1打点で、チームの8強入りに貢献。現時点で今回の甲子園では12打数6安打の打率5割、2打点と打ちまくっているものの、

「好投手から長打を放っているならまだしも、ヒットはすべて単打。しかもインコースの速球に詰まらされ、きちんととらえられない。19日の準々決勝で本塁打を2、3本打てばともかく、あの一塁守備と足ではシンドイともっぱらです」

 と、前出の記者がこう続ける。

「U18は今回から9回でなく7回制。1点の重みが増すだけに、これまで以上に攻守とも緻密な野球が求められる。守れないし走れない野手はいらない、というのが基本的なスタンスです。あの鈍い動きでは一塁も任せられないし、足の遅さもネックになる。使うならDHでしょうけど、走らずに済む本塁打ならともかく、シングルヒットでは塁が詰まるだけ。あの足ではヒットが3本続かない限り生還できませんから」

U18指揮官は徹底した勝利至上主義

 U18の指揮を執るのは明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督。1992年の夏の甲子園で松井秀喜を5打席連続で敬遠したように、徹底した勝利至上主義者だ。昨年の2022年大会で19年の5位を上回る3位で銅メダルを獲得できたのは馬淵監督だからこそとみる向きが多い。

「馬淵監督はとにかく勝利にこだわる人。注目度やネームバリューより何より、勝つために必要な選手が欲しい。例えば明徳では、守れない走れない野手はまず、メンバーに入れませんから。佐々木のメンバー入りの可能性は低いと思いますよ」とは地元・高知のマスコミ関係者だ。

 U18日本代表は今月28日の大学日本代表との壮行試合を経て、31日から9月10日まで台湾でW杯を戦う。

 代表メンバーは23日の決勝戦後にも発表される予定だ。

「今回、49校がすべて出揃った後、甲子園で1回目のメンバー選考会議が行われています。選手を選ぶのは7、8人でしょうか。高校球界だけでなく、大学や社会人の関係者も入れて、さまざまな角度から検討するそうで、1回目の会議では麟太郎の打撃が思ったほどではないという声が多かったと聞きました」(前出のアマチュア担当記者)

 佐々木は184センチ、113キロ。明らかに太っている。だから走れない守れないということはないものの、「今のままの守備、走塁では、とてもじゃないがプロでは通用しない」と、12球団のスカウトは口を揃える。

 もちろん、佐々木も自身の欠点については承知している。体を絞り、体重を落とさなければいけないことを分かっていながら、食欲には勝てない。箸が止まらないというのだ。