日本を代表するRPGシリーズの最新作であるドラクエ12だが、発表から2年以上経った現時点まで、ほとんど情報が出てきていない。

「それを紐解くには、これまでのドラクエシリーズがどういった作品だったのかを振り返る必要があるでしょう。ドラクエはターン制コマンドバトルや『主人公が喋らない』といった特徴を伝統として、踏襲し続けてきたシリーズです。ただ、そういった伝統は古参ファンを離さない『ドラクエらしさ』というメリットになっていると同時に、よくも悪くも変化がゆっくりなシリーズになってしまっているというデメリットも生み出していました」(同)

 そのメリットとデメリットの要素が、最新作の開発が長期化している一因ということなのだろうか。

「2017年発売の前作『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』が、ファンからするとシリーズの集大成といえる出来でした。ですから次作のドラクエ12は、これまでとガラリと異なるアプローチをした作品にしようとしている可能性が非常に高いのです。

 実際、シリーズの生みの親である堀井さんは、2021年にスクウェア・エニックスの公式YouTubeチャンネルの特番配信で、『コマンドバトルシステムをやめる』『試作した新たなシステムのテストを行っている』『大人向けのドラクエになる』といった趣旨の発言をしています。ここから推測できるのは、従来のシリーズとはガラリと変えたゲームシステムの構築に、非常に時間がかかってしまっているということでしょう」(同)

 では制作が難航している理由はなんなのか。

「かみ砕いて説明しますと、ドラクエのような大きなゲームは、まず1つの町、1つのフィールドというような実際にプレイできるゲームの一部分を作って、これでいけるかを確認する、いわば試作品のようなものを作ります。そして、それを基本としてさまざまな変化をステージやエリアごとに加えてフィールドを量産していき、全体的なゲームを構築していくのです。そして堀井さんは、2022年にこのフィールドの量産体制に入ったという趣旨の発言をしていました。

 それならば実際のゲーム画面を公開しても良さそうなものですが、現時点でもそういった画像や情報が出てきていないことから考えると、このベース作りに問題があり、やり直しなどをしている過程で想定以上に制作に時間がかかってしまっているのかもしれません。また、制作時期がコロナ禍に被ってしまったことも遅延の一因として考えられます。ゲームというのはデザイナー同士がアイデアを出し合いながら細かな部分を詰めていくものなので、リモート作業では横の連携が非常に取りづらいはずですからね」(同)
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