ナンバーが連載してる西谷親方とかき氷坂原の去年準々決勝のインタビュー面白いで

バントエンドラン――。

 走者は投球と同時にスタートを切り、打者はボール球であっても必ずバントをしにいかなければならない。打者がフェアグラウンドに転がしさえすれば、走者を進塁させることができる。リスクはあるが、その分のリターンも大きい作戦だった、

 西谷がサインを改めた理由をこう語る。

「ファーストのチャージがきつかったんです。ピッチャーの仲井君はショートもこなすのでフィールディングがいいというのもありました。投げたあと、ばーっと(三塁側に)降りてきていましたから。バッターがバントをしにくそうに見えたんです」
 
坂原「終盤、競っている場面の0アウト一塁、二塁での送りバントは、フィルダースチョイスでセーフになってもいいからサードで殺すんだ、と。そういう意識で守るように伝えていました。1アウト二、三塁も、0アウト満塁も変わらない。一塁にランナーがいるかいないかだけなんで。二塁と三塁は結局、一緒じゃないですか。言ってること、わかりますか?」

 正直に「わかりません」と答えた。坂原の口調が途端に熱を帯びる。

「1つアウトを取って、二、三塁にしても、フィルダースチョイスで満塁にしても、二塁と三塁にはランナーがいるじゃないですか。だから、変わらないじゃないですか」

――一塁に送球すれば、アウトが1つ増えるじゃないですか。

「いやいや、そこは問題じゃないんです。0アウト満塁になっても二、三塁ですよね。1アウトとっても二、三塁ですよね。そこの状況は変わらないじゃないですか。野球って、そういうスポーツじゃないんですか? ランナーを先に進めていくスポーツなので。満塁なら、ゲッツーも取れますし。もちろん序盤なら、そんなことはないんですよ。ただ、もう点数をやれないという状況においては0アウト満塁も1アウト二、三塁も一緒じゃないですか。自分だけなのかな……。でも、僕は選手にはそう話してるんですよ。だから、とにかくサードで走者を殺すんだ、という気持ちは(前面に)出ていたと思います」