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 1985年のドラフト会議当日。直前まで「1位指名は清原」と見られていた巨人が、早稲田大進学を希望する桑田を1位で指名した。会場は驚きの声でどよめいたが、その裏には西武からのプレッシャーもあった。というのも、浦田が「ふたりともほしかった」と言うとおり、「巨人も両獲りを狙っている」と根本が確信。「ウチは清原か桑田のどちらかを獲る」と公言したのだ。

 プロ志望届はまだなかった時代。大学進学を明言している選手でも、ドラフト指名は可能だった。強行指名で入団拒否となるのを避け、ドラフト外で獲ることもできた。現に、大学進学予定の秋山が西武に入団した経緯がそうだった。すなわち、「桑田の早大進学は100%決まりではない」という前提で、西武サイドは巨人の戦略を見定めたのだ。

 浦田の推理によれば、巨人は当初、ドラフトで清原を1位指名し、2位指名またはドラフト外で桑田を獲ることを考えていた。あわよくば両獲りができて、たとえ清原を外しても、桑田を獲得できる。ところが、根本が「清原か桑田」と言ったことで、1位指名せざるを得なくなった──。
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