脅迫ファクス送信容疑の大学院生 国費でサイバー防衛を学んでいた
2023年8月23日 9時00分
https://www.asahi.com/articles/ASR8Q7G3VR8QUTIL03Q.html

匿名嫌がらせ 顕示欲の闇
サイバー防衛技術 国費で習得
容疑者の1人、国立法人主催のプログラム参加
 捜査関係者によると、佐藤容疑者は2021年度、サイバーセキュリティー人材育成を目的とした国立法人主催のプログラムに参加。容疑者は選考を突破し、国費で知識や技術を習得していた。
 「目指せ!セキュリティイノベーター」
 佐藤容疑者が加わったプログラムはこんな言葉で参加者を募っていた。「SecHack365」と呼ばれ、総務省所管の国立研究開発法人「情報通信研究機構」が主催し、17年から毎年開催されている。
 サイバーセキュリティー研究・開発人材の育成が目的だ。総務省の予算が充てられ、参加者は20人以上の専門家による講義や指導を無料で受けることができる。
 条件は25歳以下。関連課題の提出をもとにした選考があり、毎年40人程度選出。理工学系の大学生や大学院生が多い。セキュリティー技術に関心がある若手の登竜門的なプログラムに位置づけられる。
 佐藤容疑者は21年度のプログラムで選考をクリアした。約200人が応募して40人余りが合格しており、倍率は4倍を超えていた。参加者は1年かけて、専門家による指導のもと、ゼミや発表会を通じてトレーニングを受け、サイバーセキュリティーに関する作品の製作を目指す。
 佐藤容疑者は五つのコースのうち、開発指導に重点を置く「開発駆動コース」に参加した。作品として公開されている文書によると、ウェブブラウザー上でプログラムをより安全に動かす手法を研究していたとみられる。
 機構の関係者は「サイバーセキュリティーの課題を解決し、良い社会を作るために学んだ技術を使うよう、プログラムの中では倫理教育をしっかりやっていたのに」と驚いた様子で話した。
 佐藤容疑者は東京農工大ではコンピューターネットワークなどについて学んでいた。
 一方、大熊容疑者は高校卒業後、専門学校でコンピューターについて学んでいた。最近は両親と埼玉県内で暮らし、無職だったという。