ただ、アマチュア時代に輝いた選手がプロで活躍できる保証はない。ドラフト1位指名から6年。中村奨成(広島)は一軍に定着できず、背水の陣を迎えている。

 広島で生まれ育ち、広陵高で強肩強打の捕手として頭角を現す。その名を全国に届かせたのが3年夏の甲子園だった。準決勝までの4試合で、3試合連続本塁打を放つなど6本塁打をマーク。1大会で個人最多本塁打の新記録を更新した。通算17打点も個人最多打点記録で、ドラフトの目玉に。中日と広島が1位指名で競合し、広島が当たりクジを引き当てた。
遠い一軍定着の道

 地元出身のスター候補生に大きな期待が高まったが、プロ入り後は度重なる故障に加えて、捕手の層が厚いことからなかなか一軍に昇格できない。出場機会を増やすため、三塁や外野に挑戦。プロ4年目の2021年は39試合出場で打率.283、2本塁打、5打点と持ち味の打撃でアピールしたが、昨年は27試合出場で打率.193、0本塁打、5打点と不本意な結果に。オフの契約更改では、野球に真摯に取り組むように球団から苦言を呈されたことが報じられ、話題になった。

 月日が経てば、立場も変わってくる。新井貴浩監督の方針で今年から坂倉将吾が捕手に専念することになり、會澤翼も控える。開幕二軍スタートの中村奨は4月27日のウエスタン・リーグの阪神戦(鳴尾浜)で牽制を受けて帰塁した際に負傷交代。「左足の重度の捻挫」と診断を受けた。リハビリに打ち込み、6月下旬に実戦復帰すると、ウエスタンでは23試合出場で打率.378、1本塁打、3打点をマークしている。

 他球団のスコアラーは「打撃はファームのレベルではない。一軍でも十分に通用すると思います。DeNAから現役ドラフトで中日に移籍した細川成也が大ブレークしましたが、中村奨も潜在能力は高い。ミート能力が高く、足も速い。パンチ力もありますしね」と高く評価する。

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