特別チームがヒアリングを実施した元ジャニーズJr.の証言からは、ジャニー氏は、中学生世代(13歳から15歳)を中心に一部高校生を含むジャニーズJr.の思春期少年を性愛対象として、同意なき性行為を強要する性加害を繰り返した事実があきらかとなった。

性加害の内容は、マッサージと称して体を撫でまわす、性器に触る、ディープキスをする等のわいせつ行為や、口腔性交により射精させる、肛門性交をしたりさせたりするといったものである。それらの行為は、勇気をもって名乗り出た被害者の申し立てや、一連の暴露本や週刊誌の記事等においてこれまで告発されてきたジャニー氏による性加害と、ほとんど同一の内容であった。

元ジャニーズJr.がジャニー氏による性加害に遭った時期は、1970年代前半から2010 年代半ばまでの間に万遍なく続いており、しかも同時期に多数のジャニーズJr.が被害を受けていたことも証言からあきらかとなった。

したがってジャニー氏によるジャニーズJr.の思春期少年に対する性加害は、長年にわたり広範に行われていたことは紛れもない事実である。

またA氏のヒアリングによれば、いつもお菓子などを持って自宅に遊びに来る優しいお兄さんで、家族からも好かれていた当時20 歳頃のジャニー氏から、泊まる度に小学校低学年で当時 8 歳の A 氏に対して、体を撫で回すことから始まり、陰部を弄び、口腔性交により相手を射精にいたらしめ、さらに肛門性交を試みるといった一連の性加害が幾度となく繰り返された。

また当時A氏の同級生で遊びに来たB氏に対しても、車で自宅まで送る際に、車中で体を撫で回した上に口腔性交が幾度となく繰り返された。 さらにC氏のヒアリングからは、ジャニー氏が新芸能学院内に個人事務所を創業した 1960 年代前半にも、思春期少年に対して性加害を行っていたことが確かめられた。

こういった性加害行為の内容は、1970年代から2010年代にわたりジャニー氏から被害を受けた元ジャニーズJr.においても、驚くほどに似通っていることがヒアリングの結果から確認された。

このように 20 歳頃から 80 歳代半ばまでの間、性加害が間断なく頻繁かつ常習的に繰り返された事実は、ジャニー氏に顕著な性嗜好異常(パラフィリア)が存在していたことを強く裏付けるものである。

性嗜好異常とは、性愛の表現型が異常な、強烈かつ持続的な性的関心20を特徴とするものであるが、もっぱら未熟な思春期少年を性愛対象としたジャニー氏の性的関心と同意なき性行為の強要が長年続いたことは、被害者の年齢層(中心は13~15歳)がいわゆる小児性愛(13歳以下)に比べ定義上は若干高くなるものの、まさに性嗜好異常の一型とみなすことができるものである。

したがって、ジャニーズJr.の思春期少年に対して、長年にわたり広範に行われた性加害の根本原因は、ジャニー氏の個人的性癖としての性嗜好異常にほかならない。