板東は4人きょうだいの末っ子で、2番めの姉・Sさんが神戸に住んでいる。8月上旬にSさんを訪ねると、高齢にもかかわらず、しっかりとした口調で取材に応じてくれた。

「東京に住む英二の娘たちが連れて行ったきり、私も英二の行方はわからないんですよ。英二の長女から『誰にも何も言わないで』と連絡があったのが最後やからね……」

 そして、不安な心境を吐露するように、Sさんは唐突に「実際、まだ生きとるのか、死んどるのか……」と切り出した。

「英二の妻が亡くなったときも、何も連絡がなかったし、『もう英二は死んでいるかも』と思って、戸籍謄本を確認するしかないのかなと、考えていたところなんです」

 驚くべきことに、近しい親族すらも板東の生存に自信を持てない状況だというのだ。