当時は団地に住んでいて、近所の子もクラスの子も同じメンバーで変わらず、逃げ場がありませんでした。言葉の暴力でいじめられるのが当たり前になると、発言もせず、目立たないようにしようと、どんどん消極的になっていきました。少しでも背を低くしようとずっと猫背にしていましたが、その癖は今も残っています。

小さいころは、背が高いことで悩み、いじめにも遭った

 そんな私でしたが、幼い頃からかわいらしい服やドレスが好きで、アイドル歌手や「宝塚」の娘役になれたらと夢見ていました。でも、周りからは「娘役は小さくないとできないよ」「無理だよ」と容赦なく言われて。

 父は1メートル77で祖父は1メートル82と身長が高く、自分の背の高さも遺伝なのだろうと思いました。「ああ、自分ではどうにもできないことで、夢がかなわないんだ」と絶望しました。

 周りからの言葉の暴力もやむことがなく、小学4年生のときには「もう死んだ方が楽じゃん」と思い詰めました。家族で暮らしていた団地の最上階だった11階に行き、2回ほど靴を脱ぎました。「でも、このまま死んだら、このつらさは誰にも伝わらない」。悔しく感じ、自分の部屋に戻って誰にどんなふうにいじめに遭ってきたのかを紙に書き殴りました。そうこうするうちに「なんで私が死ななきゃいけないんだ」と冷静になり、思いとどまりました。