長野市一家3人殺害事件

伊藤和史

22歳の時に結婚、子供もできた。結婚を機に母親との同居を辞めている。趣味はサッカーやビリヤード、ジャズ・クラシック鑑賞、花も好きだという。

前科前歴はなく、裏社会とかかわりを持ったことは一切なかった。

2005年に元暴力団員の宮城浩法に目を付けられたことから、伊藤の生活は一変する。

彼は、宮城と金良亮の2人に、半ば強制的に金文夫が会長を務めるオリエンタルグループの従業員にされてしまう。ほぼ無給で労働を強いられ、個人情報を握られ、日常的に暴力を受けたが、妻子を守るためにいいなりになった。

その後、良亮が宮城を射殺したことにより、伊藤の身柄は金親子の支配下となる。しかし、極悪な待遇はまったく変わらず、さらに住み込みで働くことを強要された。無給のため夜も別の仕事をこなし、睡眠は3~4時間。感情表現も制限され、事件の直前には満足な食事も与えられなかった。

事件の前年秋ごろから、金親子に対する殺意は抱いていたが、決定的になったのは2010年1月。「伊藤の妻子を長野に無理やり連れて来て、妻をスナックで働かせる」という話が出たことがきっかけだった。

2010年3月24日、同じくひどい目にあっていた仲間と共謀して金一家3人を殺害する。裁判員裁判では、彼らの置かれていた過酷な境遇はあまり考慮されず、死刑判決。その後、最高裁で死刑確定してしまう。