囲碁の仲邑菫(なかむらすみれ)女流棋聖(14)が、活動の拠点を日本から、何人もの世界王者が輩出している韓国に移す意向であることが関係者の話でわかった。すでに韓国棋院に棋士登録を申請しているという。認められれば、現在所属している日本棋院から離籍することになる。海外に移籍して活動する棋士は日本初となる。

仲邑は2019年4月、日本棋院が「世界一になる逸材」として特例の採用制度を設けてプロ採用。当時史上最年少の10歳0カ月で棋士になり、4年目の今年2月、これも史上最年少の13歳11カ月で初タイトルの女流棋聖を獲得した。ここまでの通算成績は147勝82敗。日本の女性棋士で五指に入るトップ棋士に成長したが、さらなる棋力向上を求めて移籍を決意したようだ。

韓国は世界最強といわれる申真諝(シンジンソ)九段、女子最強とされる崔精(チェジョン)九段ら多くの世界チャンピオンが輩出している囲碁強国。仲邑はプロ入り前の小学生時代、長期にわたり現地の道場で修業していた。

仲邑は韓国棋院に現地のプロ試験を経ずに所属できる「客員棋士」として登録申請した。日本棋院はすでに移籍を了承。「野球の大谷翔平のように、彼女の活躍が日本囲碁界の発展につながる」「残念だがやむを得ない」など、様々な受け止めがあるようだ。韓国棋院とも折衝を重ねており、日本で年明けに予定されている女流棋聖戦のタイトル防衛戦を終えてから移籍するとみられている。(大出公二)

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