厳しさといえば、8月25日のDeNA戦が思い出される。4番手で登板した近藤廉(24)が1イニング10失点と醜態を晒し、試合後、立浪監督は「なぜ、途中交代させなかったのか?」と記者団に質問された。

「明日の勝ちパターンを捨てたくなかったから。近藤には気の毒だったけど」

 ベンチに残っていた投手を登板させなかった理由を、そう述べていた。

 25日の試合で、「近藤が釣瓶打ちにされている間、声を掛けたのは宇佐見真吾(30)だけ。攻守交替でベンチに戻るときに出迎えたのは一部の選手だけだった」と“残酷さ”も伝えられたが、そうではなかった。近藤が投げている間、ベンチ裏では別のドラマも展開されていたのだという。

「クローザーのマルティネス(26)が『見ていられない、気の毒だ』と怒り、『オレが行く!』と、ブルペンに向かったんです」(関係者)

 すると、一部のコーチやスタッフが「やめろ」とマルティネスの腕を掴んだ。しかし、マルティネスは振り切り、ブルペン投球を始めた。

 そのやり取りは立浪監督の耳にも届いていたそうだ。目はマウンドで苦しむ近藤のほうに向けられたままだったが、そのときの指揮官の無言が近藤を出迎えるのを躊躇わせたというのが大方の見方である。

https://news.yahoo.co.jp/articles/228ce448f263df394065cccc30d3d617ed7c8518