柴田錬三郎 慶応大学文学部卒 50年前のエッセイ

「私立大学の文学部へ入るなど無試験にひとしくなければ意味がない。
文学部などというところは、就職の目的を持って入るところではないはずである。
卒業しても就職口がないのがあたりまえである。
今日では文学部に五百人が入り、入試を受けるのはその十倍近くという。
きいただけで阿呆らしくなる。
今日、五百人卒業して、いったい幾人が専攻したものを役立てているのであろうか。
まことに日本という国はふしぎな文化国家である」