何度目かの「大丈夫」のあと、彼女が何も言わずに歌舞伎町のホテルから飛び降りてしまったことを知るまで、そう時間はかからなかった。彼女が亡くなったその日の午前中、彼女が「パキって」ふらふらになりながら、笑って転げ回る動画を見た。「最高」と笑う彼女がどうしてその数時間後に飛び降りたのか、いつも一緒にいる仲間たちは、誰も知らなかった。

 話を聞いたSちゃんの友達は、彼女が自殺したと聞いた時、「本当に良かった」と泣いたのだと話した。「やっと楽になれてよかった」と思ったのだそうだ。

 結局、彼女が亡くなったことは、1日も経たない間に話題にものぼらなくなる。お互いを親友だとTwitter(X)プロフィールに載せあっていた女の子のプロフィールからは、あっけなくSちゃんの名前が消えた。取材の中で、話を聞いた男の子がいった。「珍しいことじゃないから大丈夫」と。Sちゃんが生前、「唯一心を許せた」と話したトー横。その場所の日常がこれなのだとしたら、やっぱり私は、猛烈に虚しい。