――久保先生とのやり取りの中で印象に残っていることがあればお聞かせください。

平松
久保先生とのやり取りはどれも印象に残っているのですが、一例を挙げるならアニメの6話で追加した藍染のシーンですね。
原作では藍染は回想の1コマのみの登場ですが、「藍染vsユーハバッハの会話を見てみたいよね!」ということで新規追加することになりました。
本読みで何度も直して、藍染らしさを出せたかと思ったんですが……久保先生からの監修戻しでは全部書き直しになっていました。

その修正版を見たときに、田口監督も僕も本当に感動したと言いますか、「ああ、本物の藍染だ」と唸りましたね。
これ以外にも、「てにをは」レベルでの監修ひとつで“本物の『BLEACH』になる瞬間”が多々あり、難しいなぁと毎回感じています。

それと、もうひとつ印象に残っているというか、嬉しかったのは、久保先生がご自身を含めアニメ制作スタッフを“チーム”と表現してくれたことです。
久保先生は総監修の立場ですが、トップダウンの関係性はありません。

シナリオ作成の過程においては、まずは僕たちアニメ制作スタッフが、調整や新規アイデアを含めた一本のシナリオを作ります。

それを久保先生に監修していただく際に、変更・調整・追加などの意図や狙いを補足資料にまとめて添付し、チェックをしていただいています。
久保先生からは、「これは原作のままがいい」「こうしたほうが面白いんじゃないかな」「これはアリ、ナシ」などと、明確なジャッジをいただけるので、安心して僕たちもチャレンジができています。

総監修としてチームに久保先生がいてくださることは、本当に心強いです。