始まりは2022年4月。「美少女戦士セーラームーン」や「少女革命ウテナ」をはじめ、多数の人気アニメを手掛けたことで知られる幾原邦彦さん(58)のツイッター(X)に届いた一通のダイレクトメッセージだった。

送り主は、声優でイラストレーターを名乗る女性。幾原さんとバンドを組んだアニメ関係者が、幾原さんのアニメに登場するキャラクターのイラストをツイッターに投稿したところ、女性から「自分の絵のトレース(なぞり書き)で、著作権の侵害に当たる」と指摘された。

女性は幾原さんが謝罪をしないことを「名誉毀損(きそん)」「侮辱」だと主張した。
幾原さんの仕事先である大手出版社やレコード会社、アニメ会社、芸能事務所、イラスト画家のところには、女性から次々とメールが届いた。

作り手が所属する会社に、受け手が手紙や電話で意見する機会は以前からあった。
ただ、SNSの普及やインターネットサービスの発達によって、「視聴者が作り手の近くにまで迫れるようになった。両者の境界線が曖昧になっている」(幾原さん)との実感を強くしている。

tps://mainichi.jp/articles/20231013/k00/00m/040/108000c