ノウミサンの山崎福也評を見るとおもろい
多分向上心を持ちにくいタイプなんやと思う


「オレと体を換えてくれ。お前の体でオレが実践するから」

 山崎福也によく言っていました。身体能力はすごく高いのに、生かし切れていない。本当にもったいない選手です。この言葉を言うとうれしそうな顔はするのですが、どうもピンと来ていない様子でした。自分の能力の高さにまだ気づいていないのでしょう。野球についてもっと学べば、もっと勝てるのに。それだけのボールを持っているのに。だから、言い続けました。

「ここ気をつけて。そうすればもっと勝てるよ」

 福也はにおわせても伝わらないタイプなので、できるだけ具体的に言うようにしました。宮城大弥のようにヒントを与えるだけでは、「えっ、なんですか? 分からないです。僕、どうしたらいいですか?」ってすぐ聞いて来るので。まるで考えることを拒否しているみたいに。

 でも、具体的に注意しても同じ失敗をします。

「勝ちたくないの?」

 そう言いたくなるほどでした。意識を変えれば次のステップに上がれるのに、そこで頑張れない。だから、勝敗はその日の運と展開次第。序盤に点を取ってもらうと、自分優位で投げられるからスイスイ抑えるけれど、接戦になると悪い方向へ行く。「甘いところへ投げたらアカン」という意識が強すぎるのか、かえって甘いところへ投げて打たれたり、フォアボールを出したり。

 2試合連続で打たれて、次もダメならファームと首脳陣が思っていると、めちゃくちゃいいピッチングをするのも彼の特徴でした。崖っぷちに立つときっちり抑えるから、「毎回“ラストチャンス”って言うたろか」と笑ったものです。まあ、僕もどちらかといえばそのタイプなので、分からなくはないのですが……。