<イスラエルに抗議のボイコットを「しない」と署名しないと、辞めさせられたり雇ってもらえなかったりする例が増えている>

テキサス州の学校区が、イスラエルに対するボイコットを行わないと誓う署名を拒んだだめに、言語聴覚士を解雇していたことが分かった。

9年前からこの学校区で働いてきた言語聴覚士のバヒア・アマウィは、9月に学校区から新規契約を提示された。契約は、アマウィに対して「イスラエルに対するボイコットを行わない」旨を確認するよう求めており、彼女は署名を拒否。そのために辞めさせられたとして、12月16日にテキサス州と問題の学校区を訴えた。

パレスチナの領土でイスラエル企業が生産した製品をボイコットしようという運動は、グローバルに広がっている。

「良心から署名できなかった」と、アマウィは言う。占領下で不当に苦しんでいるパレスチナの人々を裏切り、イスラエルの抑圧に加担することになる。合衆国憲法で認められた言論の自由の侵害を許すことで、アメリカをも裏切ることにもなる」

パレスチナ支持が増えるほど......
訴えられたフラッガービル学校区の広報担当者タムラ・スペンスは本誌に対して次のように語った。「係争中の訴訟についてはコメントできない。だが当学校区は、イスラエルに対して現在および契約期間中にボイコットを行わないという書面による確認なしに請負業者を雇うことを禁じた州法に従っただけだ。原告はその契約に同意しなかった」

テキサス州は2017年5月、州との契約で仕事を請け負う者がイスラエルをボイコットすることを禁止。現在26の州に同様の法律がある。カンザス州では2017年、イスラエルに対するボイコットを行わないと宣言することを拒んだ請負業者が、そのために契約を得られなかったとして州を訴えた。州は法律を修正し、訴えは取り下げられた。

イスラエルに対するボイコットへの反対運動は、連邦レベルでも、メリーランド州選出のベン・カーディン上院議員が率いる形で展開されている。

人権擁護団体の米自由人権協会ACLUの顧問マナー・ワヒードは、このところイスラエルに対する抗議活動を抑えるための法案が増えていると指摘する。「とくにこの2年で増えている」と彼女は言う。「パレスチナを支持する声が大きくなるほど、それに反対する声が大きくなっているようだ」