あれが食べたいから買ってきてくれ、税金の支払いに行ってきてくれ—。介助も含め、夫が言うことを、その通りにする毎日。2人分の食品や日用品を買うために、渡されるのは月約4万円。スーパーの安売りを探しては駆け回り、やりくりしてきた。100円や200円で買う古着が、自分へのささやかなご褒美。だから、夫が50万円もするテレビを買った時は言葉を失った。
 やりたいことがあると言うと「ろくに家事もできないくせに」と嫌みを言われる。ふと思い出すのは子どもの頃、母や自分に暴力を振るった父だ。言いたいことを言えない悔しさが、よみがえる。