この度は、東京スポーツ創刊60周年誠におめでとうございます。

5年前の55周年時には、貴社の元番記者に「貴方の背番号と同じですので、これが私からの最後のお願いです」とお祝いのメッセージをお願いされましたが、たった5年が経過した舌の根も乾かぬうちに同じ人間からまたメッセージの依頼が来ました。
この厚かましさを堂々と実行できることこそが東京スポーツの真骨頂であります。

私の現役時代の唯一の後悔は東京スポーツと仲良くしてしまったことです。なぜそうなったかと申しますと、原因は高校時代にあります。
私の高校時代の山下監督が東京スポーツを毎日読んでおり、部室には毎日、東京スポーツがありました。私の地元・石川では中京スポーツとして翌日の朝に発売されておりましたので、1日遅れの新聞でありました。
なぜ山下監督が1日遅れの新聞を毎日読んでいたのかは今でも分かりません。見出しで笑いたかったのか、プロレスが好きだったのかと想像しますが、思春期真っただ中の我々は当時、毎日掲載されていました高校生には少し刺激のある連載小説を読んでおりました。

そういう経緯もあり、私はプロ入り後も東京スポーツ記者の野球とは全く関係ない質問にも答えてしまいました。今思えば、東京スポーツの性質をもう少し理解した上で質問に答えれば良かったと悔いております。

ただ、東京スポーツは事実か事実でないか分からないことを堂々と1面にできる稀有な新聞社であります。それが許される特徴を生かして、これからも東京スポーツにしかできない記事を掲載し、仕事で疲れた帰宅途中の読者の皆様を喜ばせてください。
改めまして、この度は心よりお慶び申し上げます。そして、65周年にはもうお祝いメッセージの依頼が私に来ないことを切に願っております。