●痴漢被害者なのに「ケンカはいけませんよ」屈辱の暴行加害者扱い

編集部のLINEにメッセージを寄せたのは、関西に住む公務員の野村達夫さん(50代・仮名)。これまで3度も電車で痴漢されたという。

東京で働いていた野村さんは1999年から2000年にかけて、通勤中の混み合った電車内で2度やられた。当時、30代前半だった。

1度目は前方から男性器を、2度目は後方から臀部を触られたという。

いずれも加害者の男性の手をつかまえて、逃げられないように次の駅でホームに降ろし、「痴漢です」と周囲に助けを求めたが、誰も応じてくれなかった。

駅員からは「朝からケンカはいけませんよ」と暴行の加害者扱いされ、被害者だと説明しても、「あなたが触られたんですか?」と驚かれたという。

当時、強姦罪の被害者は女性に限られ、男性の性被害に対する理解は今以上に乏しかった時代の出来事だ(その後の法改正によって強制性交等罪、不同意性交等罪となり、男性も被害者とされる)。

「自分なら痴漢被害に遭わないはずだと思っていたことや、私なら触って良い相手だと認識されたことがショックで、怒りを感じました」

そして昨年、大阪の地下鉄御堂筋線で3度目の痴漢被害に遭った。取り押さえようとした加害者は「減るもんじゃないし、かまへんやん」と言い残して逃げていった。

20年前と違ったのは、駅員が野村さんの求めに応じて警察に通報したことだった。また、警察も被害届を受理したという。

●ゲイ男性だとしても、知らない相手から触られるのはイヤだ

野村さんはゲイで、男性のパートナーもいる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3c0969b5c85b861c481d62c10ff0d3527196549d