「日本が木製の人工衛星を造ったのはまず環境への配慮からだ」とし、アルミニウム合金製だと任務後に大気圏に再突入させ燃焼させた際に酸化アルミニウムなど大気汚染の原因となる有害物質が発生する一方、木製であればわずかな灰しか発生しないことを伝えた。

そして、米スペース・ニュースの報道として、「今のところ汚染は大したことはないかもしれないが、人工衛星の数が急増するにつれ、近い将来に非常に深刻になる」とした上で、米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天体物理学者ジョナサン・マクドウェル氏が、2008年には1000基にも満たなかった人工衛星が24年1月には8377基になり、5~10年後には2万~10万基にまで増えると予想し、「大量の使い終わった人工衛星の処理問題は今後深刻化する一方だ」と述べたことを紹介した。

また、「木製人工衛星にはメリットがたくさんある」とし、宇宙には酸素がないため発火のリスクが低いこと、生物がほぼいないため微生物が繁殖して木材が朽ちる心配がないことに言及。さらに重要なこととして、木材であれば電波の伝達を妨げないため外部アンテナが必要なくなることを挙げ、「現在、新しい衛星を軌道に投入する際は外部アンテナを展開して地上の指揮センターと更新する必要があるが、失敗が何度も起きており、高い代償を払っている」と伝えた。

記事は、昨年にすでに10カ月におよぶ宇宙での木材の曝露実験が行われ、宇宙環境下でも安定して割れにくく、分解や損傷も見られなかった「オホノキ」が採用されることなどを紹介。米メディアも「将来性がある」との見方を示していることを伝えた。(翻訳・編集/北田)