なんだか「日テレのプロデューサーが悪者ではないか」というような空気になっているが、それはそうとは言い切れないような気もする。
テレビ局のプロデューサーという立場で言えるのは、日テレの報告書には書かれていないことがあるということだ。

それゆえに、この報告書は完全とは言えない。ドラマ制作に関わる全体像を明らかにしたい。(テレビプロデューサー・鎮目博道)

私はわかりやすく「何が悪い」とは断言できない。しかし、テレビマンとして、いろいろ感じるところはある。
それを書くことで、みなさんのこの問題に対する理解の助けになれば良いと思う。

双方の報告書からほぼ完全に抜け落ちていることがある。演出サイドや技術サイドの意向だ。
報告書に登場する日テレ側の人物は、局のプロデューサーとその上司と思しき人物と脚本家、ほぼそれだけ。
実際には現場で大きな権限を持つはずの監督やディレクターたち、制作を受注していて実質的に
現場を仕切っていたはずの制作会社のプロデューサー。演出に相当影響力を及ぼすこともあるカメラマンなどは登場しない。
彼らが何を考え、どう発言し、どう動いたのかは、報告書からはまったくわからない。

こうした人たちの言動が明らかになっていない報告書では、どのような力学が働いて原作の世界観が変えられていったのかは見えてこない。