【西本聖】復帰勝利の奥川恭伸は「投げ方直す」か「強い体作り」を 上を目指せる投手だからこそ

今後に向けての活躍を問われると「?」になってしまう。まず、ヒジから上げて背中側に入ってしまうテークバックは、故障前とほとんど変わっていない。
これだと左肩を開かせないと投げられないし、どうしても腕が振り遅れてしまう。前回の長期離脱につながった右ヒジ痛の根本的な要因が修正できていなかった。

今後に向けての気になる点は、もうひとつある。ケガで長期離脱した選手は、患部以外の箇所のウエートトレーニングや、走り込みなどの強化練習を十分にこなせる。
そのため、体がひと回り大きくなる。年齢的にも高卒5年目の奥川なら、どんどん体が大きくなる時期。
しかし奥川のシルエットを見る限り、あまり大きくなっているように見えなかった。ユニホームを脱げば違って見える可能性はあるが、お尻回りや太ももは、それほど変わっているように思えなかった。

21年の活躍を見れば、説明するまでもなくプロで活躍する能力とポテンシャルを備えている。それだけに、本人はケガ前の状態に戻せばいいと思っているのかもしれない。
今、私から奥川にアドバイスするなら「それではダメ。ケガをする原因を考え、投げ方を直す。もしくはケガをしないような強靱(きょうじん)な体作りをしなさい」と話すだろう。

2年ぶりに復帰した若い投手がいいピッチングを見せたのに、厳しいことを言うのは少し気が引ける思いもある。
しかし、奥川はもっともっと上のレベルを目指せる投手だと思っている。1年を通して活躍できるエースに育ってもらいたい。