なんかこれ思い出したわ

Wikipediaに「架空のロシアの歴史」を10年にわたり1人の女性が書き込み続けていたことが判明

https://gigazine.net/news/20220630-fake-russian-history-chinese-wikipedia/

ある日、中国のファンタジー作家であるYifan氏は歴史的事実から執筆のインスピレーションを得るため、中国語版Wikipediaでさまざまな記事を閲覧しました。そんな中、Yifan氏は中世のロシアに存在した「Kashen銀鉱山」という大規模な銀鉱山についての興味深い記述に出くわしました。

当該記事によれば、Kashen銀鉱山は13世紀~15世紀に存在したトヴェリ大公国が開いた銀鉱山であり、約3万人の奴隷と約1万人の解放奴隷が働く当時としては世界最大規模の産業の1つだったとのこと。銀鉱山はトヴェリ大公国にとって重要な財源でしたが、近接するモスクワ大公国が銀鉱山を奪おうとしてトヴェリ大公国に戦争を仕掛けるなど、歴史的な争いの火種にもなったとWikipediaには記されていました。なお、トヴェリ大公国は1485年にモスクワ大公国に組み込まれて消滅しましたが、Kashen銀鉱山はその後も採掘が続けられ、18世紀半ばに銀の枯渇で閉山されたとのこと。

Kashen銀鉱山を巡る中国語版Wikipediaの記述は非常に豊富であり、トヴェリ大公国とモスクワ大公国との争い、関連する貴族や技術者、鉱山を取り巻く歴史などの関連記事は数百件に上りました。Yifan氏はこれらの記事を読みあさって多くを学びましたが、もっと深くKashen銀鉱山について知りたいと思い、関連するロシア語版Wikipediaの記事や脚注にも目を向けました。

すると、なぜかロシア語版の記事の方が中国語版より短かったり、そもそもロシア語版の記事が存在しなかったりすることが判明。また、中世の採掘方法についての脚注に21世紀の自動採掘技術を説明した論文が参照されているなど、いくつかの矛盾があることが明らかになりました。さらに調査を重ねた結果、Yifan氏は「そもそも『Kashen銀鉱山』など存在しなかった」という結論に至ったそうです。