ドン!さらにドン!いつでもドン!

さかのぼること66年前。1958(昭和33)年5月19日午前8時過ぎ、稲村さんは知り合いに誘われて働き始めた与野町(現・さいたま市)の工場で、上司の長田進さん(当時46歳)を刃渡り26センチの刺身包丁で突き刺すなどして殺害した。
「3カ月くらい経てば本採用にする」という約束が守られなかったことに不満を募らせ復讐を決意したという。

半年後の1959(昭和34)年7月8日には、収監された千葉刑務所で知り合った受刑者の鈴木和男さん(当時28歳)を別の受刑者(当時25歳)と共謀して革切り包丁で刺し殺した。
バカにされたり非難されたりしたことに我慢できなかったという。当時の新聞には、被害者の言動が誘発した面があったとして「この事件としては情状判決となった」などと書かれている。

収監されると開き直った。仲の良い受刑者がトラブルを起こして懲罰を受けると、代わりに刑務官や他の受刑者を襲撃し、服役中にも別の実刑判決を受けている。