ロックリー「黒って付いてるから黒人!」

https://www.pref.gunma.jp/site/monjyokan/130144.html
栗間家文書(P00101)のNo1「年未詳加藤清正書状」(下川又左衛門ほか宛)には、
豊臣秀吉の朝鮮出兵に関連する記述の中で「くろほう」という言葉が出てきます。
そして2021年3月30日にNHK BS4Kで放送された「Black Samurai 信長に仕えたアフリカン侍・弥助」の中で、
日本大学准教授のロックリー・トーマス氏がこの文書に出てくる「くろほう」こそ、
織田信長に仕えた黒人武将弥助の後身ではないかと、述べられています。
まず文書館内では、この「くろほう」をこれまで全く黒人として認識しておらず、トーマス氏のご指摘に驚いています。
実は、この「くろほう」が弥助かどうかはともかく、黒人と推定する見解は
以前からありました(中島楽章氏「16世紀九州末ー東南アジア貿易」『史学雑誌』118-8号ほか)。
ただし現時点では、この文書の1カ所にしか出てこないため、断定は難しいと思われます。
例えば、『源氏物語』にも「くろほう」という言葉が出てきますが、これは「黒芳」(練り香)の意味で、
日本の古典で頻出しているようです。
また、当館文書を読むと、人間ではなく、物を指す記述と見た方が自然ではないか、という意見も係内で出ています。
以上より、現時点では「くろほう」を直ちに黒人と即断するのは難しいのではないか、というのが当館古文書係の見解です
(引用終わり)