有効視界は7ヤルド(約10メートル)そこそこと言ったところだ。
この有効視界範囲外から狙撃でもされると、ロイさんはともかく僕はひとたまりもない。
視界に魔物がいないからといって、油断するわけにはいかない。
気を張り詰めたまま通路を歩いていると、自動探知のスキルを持っているロイさんが声を張り上げた。
「敵接近!5秒後に接触。敵戦力分析と指示をくれ!」
「分かりました!」
これからの戦闘の流れや指示は僕が決めることになっていた。
パーティーリーダー、指揮官、部隊長。
一言で言うなら、僕はこれからそういう役割を担うことになった。
しかし僕はまだまだ新米の、へたれ魔導師だ。
もし大きな失敗をして、取り返しの付かないことになったら
どうしようという不安で、心臓がバクバク鳴る。
しかし、ロイさんが僕にはその才能があるかもしれないと言ってくれたのだから、自信を持ってやるしかない。
そして本当に5秒後きっかりに、魔物がその姿をあらわす。
魔物と接触してやるべきことは、まず敵の戦力構成の把握だ。
敵前衛 トロール×3、エルフ騎士×3
敵中衛 エルフスナイパー×2
敵後衛 メイジキャスター×2
相手のパーティー構成を素早く確認すると、僕は戦力分析を口にする。
「敵前衛に戦力が偏っています!
敵前衛の数が多いため、敵の各個撃破に自戦力を一極集中させます」
「分かった。具体的にはどうする!」
じりじりと近づいてくる魔物を見ると、早く自分が指示を出さなければと気持ちが焦る。
落ち着け、このダンジョンの1階層で戦うのは初めてじゃない。
もし失敗しても、ロイさんがカバーしてくれる。
僕は深呼吸を一度すると、素早く戦術を構築するべく思考した。
なろう小説「敵接近!5秒後に接触。敵戦力分析と指示をくれ!」
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1それでも動く名無し 警備員[Lv.5][新芽]
2024/08/09(金) 12:38:17.18ID:Yz43lIX30■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています