「広く開かれた大会」と銘打って始まったパリ五輪。11日の閉会式では地元のフランス選手団が先頭に立ち、観客と一緒に万歳したり大合唱したりで盛り上がった。すれ違う観客同士がハイタッチを交わし、陽気な雰囲気のまま幕を閉じた。

コロナ禍のため「バブル方式」で行われた3年前の東京五輪は、数々の行動制限があり、心身ともに負担が大きかった。国立競技場の外から「五輪反対!」の声が響いて疎外感もあり、無観客で開催する決断に至ったのは返す返すも残念だった。

パリ大会では、10日夜に五輪コースを使った市民マラソンも開催された。高額なチケットを持っていなくても参加できるし、沿道には多くのファンが酒を片手に「頑張れ!」と声をかけて一緒に楽しんでいた。

有名選手が参加していなくても、参加者、観客のそれぞれが主役になって、充実した時間をつくり思い出をつくる。東京大会で失われたコミュニケーションを取り戻す大会だった。