野球アナリストの蛭川皓平氏は著書「セイバーメトリクス入門」の中で18年の菊池涼介(広島)の成績に基づいて算出した結果を紹介している。この年の菊池は打率2割3分3厘、13本塁打、送りバントは30だった。煩雑な数式や詳細は省くが、菊池が無死一塁から強攻する場合、得点期待値は0.807だった。一方、バントをした場合(5回中4回成功と仮定)は0.639。これほど打率が低い打者でも、バントは得点期待値を下げてしまうのだ。

蛭川氏は強攻とバントの損益分岐点を「打率にして1割3厘」と結論づけている。18年のNPBで100打席以上立ち、この数字を下回った野手はいない。このレベルになると、すべての選手が強攻した方がいいということになる。もうお分かりだと思うが、送りバントはかなり非効率な作戦なのである