あの試合、巨人ベンチは感情的になっていたという。大事な一戦で“疑惑の判定”があっただけではない。阪神が2塁に出塁するとランナーの動きを逐一、猜疑心みなぎる目で“監視”していたというのだ。
ベンチも疑っていた

 試合後、菅野は疑惑の判定について「やっていればいろいろなことがある」と大人の対応を見せた。

 だが、それは審判に向けたもので阪神に対しては終始苛立った様子だったという。その理由を球界関係者が明かす。

「あの日、菅野・小林バッテリーは阪神がサイン盗みをしていると疑っていたのです」

 サイン盗みとは2塁ランナーが、キャッチャーのサインを盗み見て打者にこっそりジェスチャーなどで教える行為。昔は各球団が戦術として行なっていたが、フェアプレイに反するとしてパ・リーグは99年からセ・リーグは2009年から禁止になった。

 巨人側が阪神に疑いの目を向けたのは、疑惑の判定があった直後のことだったという。2塁にランナー木浪聖也がいるチャンスで打席に立ったのは近本光司。

 菅野は木浪を警戒しながら、初球フォークボールを投げた。球は地面に軽くワンバウンドしてから小林のミットに収まった。

 そこで小林は審判にタイムを要求して菅野のもとへ駆け寄った。なぜ1球投げただけで、わざわざマウンドに行ったのかーー。傍から見れば分かりにくい場面だったが、実はこの時、小林は「サイン盗み」を察して菅野に伝えに行ったというのである。

「巨人関係者に言わせると、ランナーの木浪が腰や手を使った怪しい動きをしていたようなのです。バッテリーだけでなくベンチもサイン盗みがあったと確信していたようで、試合終了後も不信感を露わにしていたと聞いています」(同)

9月6日でもヤクルト投手が「やめろ!」とジェスチャーで抗議

 動画を見てみたが、画面には木浪の上半身しか映っておらず、何が怪しく見えたのか判断しようがなかった。

 阪神側からすれば、言いがかりも大概にしろとというところだろう。実際、巨人から抗議があったわけでもない。だが先の球界関係者はこう続ける。

「実は巨人だけでなく他球団も阪神に対して、2塁にランナーを出す度にやっているのではないかと強い疑念を持っているのです」(同)

 実際、9月6日の阪神ヤクルト戦で、試合中にヤクルトの助っ人投手・サイスニードがあからさまに疑いを指摘した場面があった。突如、2塁にいた阪神走者の森下翔太を振り向き、怪訝な顔をして“やめろ!”と言わんばかりのジェスチャーをしたのだ。

 森下は苦笑いを返すだけだった。結局両者のやり取りはこれだけで終わったが、ファンたちの間では「やっぱりやっている」「言いがかりだ」といった論争がSNS上で起きた。

https://www.dailyshincho.jp/article/2024/09261037/