投手としてはどうだろうか。上体の筋力がよいだけに、強速球投手に遜色がない。人間が野球ボールを投げる時にかかる力は、約1.5馬力(1馬力は約0.75kW)だが、力が12倍も強いゴリラは、その分だけ、強い力で早いボールを投げることができる。

しかし、ゴリラ投手の弱点は、ほかならぬ「指」。ゴリラは、重い体を支えながら、大地を気軽に歩くことができるよう、指が短く、手のひらが広い。打者の目の前で、横に曲がったり、いきなりぐんと落ちる変化球を投げるためには、指でボールを包み込み、1分当たり1500回以上の回転をつけなければならない。ところが、ゴリラの短い指は、変化球を投げるには、力不足だ。早い直球で勝負する投手にならざるを得ない。