石破茂首相(自民党総裁)が政治資金収支報告書の不記載があった議員の一部を次期衆院選で公認しない方針を示したのを受け、党内で賛否が交錯した。不記載議員の大半を抱える旧安倍派議員を中心に反発が広がった。

旧安倍派で党幹部を務めた一人は7日に「権力の乱用だ」と首相の方針を批判した。「派閥が壊れ、党が壊れていく過程にある」と語った。岸田文雄前首相が率いた旧執行部内で一度決めた処分を蒸し返したと受けとめた。

衆院当選4回の議員は「露骨な安倍派潰しだ」と非難した。別の議員は「一事不再理の原則に反する。『ルールを守る』という首相に疑問を呈せざるを得ない」と話した。憲法は同じ犯罪に重ねて刑事上の責任を問わない一事不再理の原則を定める。

「全員検察の取り調べで不起訴になっている。これでは法治国家ではなく人治国家だ」との声もこぼれた。