陰茎のサイズにものをいわせているのが、ヒゲクジラ類の一種のセミクジラ科鯨類のオスである。

セミクジラ科は、ホッキョククジラ、キタタイセイヨウセミクジラ、キタタイヘイヨウセミクジラ、ミナミセミクジラの4種が存在し、このうち日本周辺にいるのはキタタイヘイヨウセミクジラ(セミクジラ)だ。セミクジラは、頭部にこぶ状の突起がある実にユニークなヒゲクジラで、私の最も好きな鯨類の一つである。

セミクジラ科鯨類の体長は15~20メートル程度だが、陰茎の長さは約3~4メートルといわれ、体長の5分の1から4分の1の長さを誇る。ちなみに、地球上最大の動物であるシロナガスクジラは体長26~30メートルで、陰茎の長さは約3メートル。

つまり、セミクジラは体長に対する陰茎比が、シロナガスクジラの倍になる。さらに、セミクジラ科は精巣も大きく、左右合わせた重量は約1トンにおよぶ。

なぜ、セミクジラ科鯨類がこのように大きな陰茎と精巣をもち合わせたのかというと、交尾のとき、大量の精液を膣内に流し込み、自分より先に交尾したオスの精子を洗い流すためだといわれている。

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