突如、役員報酬1億2000万円をゲット

A社の2021年2月決算において売上高は31億8385万円となっている。実に99.3%が国の布マスク調達事業であり、純利益は8億4327万円だった。

売上総利益は売上の約34%。一般的な商社の粗利率をはるかに上回っている。

それまで役員報酬0円、給与の支払いもほぼ0円だった会社が2021年2月決算では1億2000万円の役員報酬を計上。登記簿を見るとひとり役員の会社なので全額代表者の手もとに渡っているものと思われる。

問題は1枚当たりの単価である。

国のA社からの布マスク1枚あたりの購入価格は135円(税抜き)だった。

上脇博之・神戸学院大学教授が先に起こしていた単価をめぐる開示訴訟で、裁判所が国に対し開示を命じたため出された文書を見ると、布製マスクの調達単価はもっとも安い会社で62.6円(税抜き)だった。

アベノマスク調達は入札ではなく随意契約で行われた。果たして1枚当たり135円という金額は適正なのか? 

検証しようにも文書もメールもなにも残っていないというのである。