自民党の総裁選挙を9月29日に控えて、またまた日本の政治の「不思議」に僕は驚かされている。今回特に目立っているのは「保守だ!」と大声で主張しながら、アメリカ人から見て完全に「リベラル」なレトリックを繰り出す候補たちだ。

分かりやすいのは河野太郎氏。NHKの『日曜討論』では「これから少子高齢化の日本の中で大事なのは人が人に寄り添っていく、安心感がある、ぬくもりのある社会だと思う。本来保守主義というのは、度量の広い温かい寛容な社会を目指すのが保守主義なんだと思う」と述べた。

安心感、寄り添う、度量の広い、寛容。こういった形容詞は、手厚い社会福祉制度が働く、ダイバシティーを受け入れるインクルーシブな社会を目指すリベラル派が普段使うものだ。アメリカでは、規制を廃止し、減税しながら公的サービスの削減を目標にする「小さな政府」主義の保守政策を表現するとき、「ぬくもり」なんか用いられない!