岡田彰布は礼節を知る男 「家まで夫妻で移籍の挨拶に来たのは彼だけ」 三好一彦元阪神球団社長語る

1993年オフ。岡田は新旧交代の波に飲まれ、タイガースを離れた。断行したのは球団社長だった三好。それは功労者に対する苦渋の通告だった。
 オリックス移籍の際に、「タテジマのままバットを置いたらどうや」と意思確認したのは、阪神・岡田のイメージを残したかったから。それでも本人の意思は固かった。
 涙の退団会見から数カ月後のある日。三好は岡田のとった行動に心奪われたという。
 「奥さん(陽子夫人)と2人でウチへ挨拶に来ましてね。“お世話になりました。オリックスで頑張ります”と。家まで、夫妻で移籍の挨拶に来たのは、彼だけですわ」
 この礼節を大切にする姿勢は、かつて吉田義男が語っていた“岡田像”に通じるものがあった。