>>664
離婚率の指標には、もうひとつ「人口千対離婚率(普通離婚率)」と呼ばれるものがある。これは、人口千人当たりに対する離婚数(パーセントではなくパーミルという単位)であり、国際的な比較の際にはこちらが使用される。
しかし、この人口千対離婚率は、そもそも分母が人口なので高齢者も含む。熟年離婚が増えているとはいえ、離婚は54歳までで90%を占めている。離婚をほとんどしない高齢夫婦を分母に入れたままの指標が正しく事実を反映しているとはいえない。また、別途、有配偶者だけを分母とする「有配偶離婚率」を正しい指標とすべきという論者もいるが、それもまた高齢者を含むので正しくない。
「3組に1組離婚」は正しい
結論からいえば、離婚に関しては特殊離婚率を見る方がよい。
特殊離婚率は、年間ごとでも見るが、毎年30%が離婚するという意味でとらえるより、結婚に対する離婚の比率を見るためのものである。
長期間の累計値で具体的に説明しよう。
1990年から2019年までの30年間の全年代を対象とした婚姻数累計は、2150万組、離婚数累計は693万組である。30年間の累計特殊離婚率は約32%となる。もちろん、この離婚数の中には、1990年以前に結婚した夫婦も含まれているが、30年間の累計においては誤差の範囲だ。つまり、この30年間で結婚した夫婦のうちの32%は離婚をしていることになる。まさしく「3組に1組は離婚」しているのだ。