>>71
文化大革命の時、天体物理学専攻の女子大生葉文潔は、清華大学の物理学教授である父・葉哲泰が紅衛兵の批判を受け嬲り殺されるのを目のあたりにした。その後、紆余曲折を経て大興安嶺山脈の奥地に巨大なパラボラアンテナを備える「紅岸基地」に入った。中国共産党中央委員会に直属する極秘基地である紅岸基地の目的は西側の衛星の情報収集や、高出力のマイクロ波を照射して衛星を破壊することだが、真の目的は異星人の探索と交信であった。世界に先駆けて異星文明と接触して西側に対する圧倒的アドバンテージを得る。葉文潔はそこで偶然に太陽の増幅反射機能を発見し、遥かな遠方と電波で通信することを可能とした。彼女はこの機能を駆使して、密かに地球文明の情報が入った電波を宇宙に送り出し始めた。地球と最も近い恒星系の惑星に生きている異星人「三体星人」がこの情報を受け取った。それから、三体の世界と地球の世界は、関わりを持ち始めた[注 1]。

中略

三体星人は、智子を介して地球人に「お前たちは虫けらだ」のメッセージを送りつけた。既に圧倒的な科学力の差を見せつけられた上に地球の科学技術の発展も封じられ、最早太刀打ち出来ないと絶望して酒に溺れる汪淼らを、史強は蝗害に襲われる故郷に連れ出し、人類がこれまで数多の退治の手段を講じても、虫は決して滅ばなかったと諭す。

やで