ところが、何十年も昔であるが、銀座のある有名なすし屋に友人と二人で入った。
友人がおごるという約束であったし遠慮はしなかったが、泳いでいるヒラメをおろして
貰って食べさして勘定となったら七万何千円だと言う。何が何でもそんな勘定はないと思ったので、
文句を言うと、ヒラメを一匹おろしたので、その分が入っているのだ、という。握られた分はほんの
一部なのに丸々一匹分とはおかしいと言うと、生きているのを一匹おろしたのだから、と同じ返事で、
まァしょうがないなと友人がしぶしぶ支払った。もう二度とあの店へは行かないというのが、
おちであったが、そういう店もあったのである。
http://aizawahideyuki.jp/kiji248.html