4月20日午後3時40分頃、市内に住む女児(当時3歳)とその母親(当時33歳)が、虫歯予防のためのフッ化ナトリウムを塗布してもらうために、同院に訪れた[6][7]。

Xは、「八王子ではフッ素(フッ化ナトリウム)の塗布が義務付けられている」といい、「フッ化ナトリウム」と思い込んだまま「フッ化水素酸」を脱脂綿にしみこませ、女児の歯に塗布した[6][7]。

その直後、女児は口から白煙のようなものと臙脂色の唾液を出し、「からい」と訴えて仰け反った(フッ化ナトリウムは本来無味無臭)[6][7]。

「フッ化ナトリウムだとすれば異常な暴れ方」であるにも関わらず、Xは「フッ化ナトリウム」だと思い込んだまま「フッ化水素酸」の塗布作業を続行した。

Xの指示で、女児の母親と同院の助手の女性が女児の体を押さえつけ、再び液体を塗布したが、女児は「ぎゃあ」と悲鳴を上げ、体が宙に舞うほど暴れだし、助手と母親の腕を跳ね除けて、診察台から転がり落ちた。[7]。

「あつい、いたい」と腹痛を訴えて泣き叫び床を転げ回る女児を母親が抱き上げると、口の周りが出血を伴いながら真っ赤にただれていた[7]。

Xは、初めての反応に対して特殊体質によるものだと判断し、強心剤を注射した上で119番通報した[7]。
しかしまもなく女児は意識を失い、救急車で近所の病院に搬送されたものの、症状が重篤であるため東京医科大学八王子医療センターに転送されたが、同日午後6時過ぎに死亡した[7]。