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最高裁でゲーマー側が逆転敗訴やね

2024年10月23日、フランス最高裁判所はValve社(Steam)とフランスの消費者団体UFC Que Choisirの間で争われていた訴訟で、デジタル配信されたビデオゲームの中古販売を認めない判決を下しました。

事件の経緯:
- 2015年、UFC Que ChoisirはValve社のSteam利用規約が消費者保護規則等に違反するとして提訴
- 2019年、第一審ではUFC側が勝訴し、デジタルゲームの中古販売を認める判決
- 2022年、控訴審では一審判決を覆し、デジタルゲームへの権利消尽原則の適用を否定
- 2024年、最高裁で控訴審判決が支持される

判決の主なポイント:
1. ソフトウェア指令(2009/24/EC)と情報社会指令(2001/29/EC)の解釈の違い
- ソフトウェア指令では有形・無形を問わず権利消尽を認める
- 情報社会指令では有形の商品にのみ権利消尽を適用
2. ビデオゲームの法的性質
- 単なるコンピュータプログラムではなく、グラフィックス、音楽、ストーリーなどを含む「複合的著作物」
- 情報社会指令による保護が優先される
3. デジタルコンテンツの特殊性
- 品質劣化がなく完全な複製が可能
- 権利者の利益を著しく損なう可能性
判決の影響:
- デジタル配信されたゲームの中古販売は認められない
- ゲームパブリッシャーの権利が強化される
- デジタルゲームの中古市場の可能性が否定される
本判決は以下のEU司法裁判所の判例に沿ったもの:
- UsedSoft事件(C-128/11): ソフトウェアライセンスへの権利消尽適用を認める
- Tom Kabinet事件(C-263/18): 電子書籍への権利消尽適用を否定
- Nintendo事件(C-355/12): ビデオゲームを複合的著作物と位置付け
この判決により、フランスにおけるデジタルゲームの中古市場の可能性は完全に否定されることとなりました。これは近年のEUの判例法、特にTom Kabinet事件の判決に沿った結論であり、デジタルコンテンツの特殊性を考慮した現実的な判断といえます。
一方で、この判決はデジタル時代における消費者の権利と権利者の保護のバランスについて、さらなる議論を喚起する可能性もあります。デジタルコンテンツの所有権や再販権に関する法的フレームワークは、技術の進歩とともに今後も発展していく可能性があります。